ARION製 STEREO PHASER (SPH-1) 自作の記録3

ARION製のフェイザー、SPH-1製作記録の続き(最終回)

前回までの内容
 ③回路解析とレイアウト作成、基板作成
 ④ケースの加工とジャック・スイッチの配線
 ⑤テストとトラブルシューティング

film-filament.hatenablog.com

⑥音の調整・モディファイ

専門知識が全然ないド素人のやっていることです。
当たり前ですが改造などは自己責任でどうぞ。

以下のレイアウトで紫色になっている部分をいじってみた。
この紫色にした部分はソケットにしてパーツの差し替えができるようにしておくと便利。

レイアウト

R1:フィードバック量を決める抵抗。10kΩにしてみたところ、Resonanceのつまみをフルにしたあたりで発振(フィードバック)するようになった。本来であれば12kΩ。15kΩにしてみたところ、そこまで音に変化はなかったがResonanceの掛かり具合が少し優しくなった。自分は12kΩのままにしている。スイッチを設けてこの抵抗値を切り替えられるようにしておけば好きな時に発振できる。

R2:SPH-1にはエフェクトをオンにすると音量が上がるという特徴がある。自分の作った個体はモディファイの影響なのか、パーツの影響なのか、音抜けがとても良くてオンにしたときの音量の上がり方もより顕著になった。このR2の値(本来は22kΩ)を大きくすると音量の増幅が抑えられる。自分は24kΩで試してみたところあまり効果がなかったので27kΩにしてみた。ここの抵抗値を大きくしすぎるとエフェクトの効きが薄くなるらしい。

C1:入力のカップリングコンデンサ電解コンデンサからフィルムコンデンサに交換。容量的にフィルムコンデンサでいいと思う。電解コンデンサを使用するメリットがないように思える。自分は秋月電子で買った黄色いボックス型のフィルムコンデンサにしている。容量はそのまま。

C2:0.22µFの電解コンデンサはなかなか見つからないかもしれない。ここを1µFのタンタルコンデンサにする人もいるらしい。タンタルを使ってみたところプレゼンス域が出るというか、ちょっとキンキンする感じだったので自分はそのままにしておいた。1µFの電解コンデンサも試してみたけれど0.22µFとの違いがよく分からなかった。タンタルは高いし、0.22µFはあまり見つからないかもしれないので1µFの電解コンデンサでもいいように思える。

C3:出力のカップリングコンデンサ。ここの容量を大きくすると低音が出やすくなる。(入力のカップリングコンデンサで低域が削られていたら意味ない……??)自分の作った個体は高音寄りの音で少し低音が足りなかったので、自分は本来1µFのところを10µFにした。ちょうどよくなった気がする。プラシーボかもしれないけど。

4.7k* , 222**:ここを除去することで高域が出やすくなる(?)らしい。たぶんここのコンデンサ(222)の値を大きくすれば音がこもるように、小さくすればぬけるようになるんだと思う。4.7kΩの抵抗については、222のコンデンサを除去してしまえば無駄になる。自分は4.7kΩも222も除去してある。

IC1~4:自分は4580DDを使用している。4558とかTL072が一般的だと思う。自分はJCR4558D、TL072Lを試してみたけれど、Resonanceの効き方に若干違いが出たものの、音はほぼ違いがなかった気がする。
(これに関してはアンプを通さずオーディオインターフェース+ヘッドホン、モニタースピーカでの試聴)

その他:OUTの10kΩを可変抵抗器に変更(Volumeを追加)する人もいる。

以上のモディファイ等を盛り込んでから最終的な音の調整を行った。
調整はルーパーで音を流しながらバイアスの半固定抵抗をいじってエフェクトが一番深くかかるところを探る作業。ツマミ3つ全部をフルにして音が一番プクプクする位置を見つけた後、ツマミ3つ全部を12時にしてまた微調整した。エフェクトが深くかかる部分は結構ピンポイントだから、ここの半固定抵抗は外に出さず触れないようにしておいた方がいい。これを外に出すメリットは無し。
ちなみにこのバイアスの設定によってはエフェクト音が歪んだり、ただのブースターみたいになったりする。


⑦組み込み

配線をすべてはんだ付けして組み込み。汚い。
何箇所も修正をしたのでハンダ面は汚いしボロボロ。見せられたもんじゃない。
配線が切れそうな部分はホットボンドで固定。結束バンドで配線をまとめると便利。
自分はカットした厚紙や段ボールを何枚も張り合わせて基板とケースの間に入れて絶縁に使用している。基板はホットボンドで厚紙などに固定している。
固定の前にもう一度音が出るか確認することを勧める。固定後にトラブルを見つけると厄介。

 

完成。

出音良し、外観良し、内側汚い
音色

音はこんな感じ。
改造したOD-3 + 今回作成したフェイザー


なかなか大変だった。
出音には満足してる。達成感が大きい。