ARION製 STEREO PHASER (SPH-1) 自作の記録2

ARION製のフェイザー、SPH-1製作記録の続き

前回までの内容
 ①部品の調達
 ②FETの選別

film-filament.hatenablog.com

③回路解析とレイアウト作成、基板作成

まずはネットで見つけた回路図を確かめる作業を行った。
製品を分解して実装面とパターン面を撮影し、画像編集ソフト上で左右反転させたパターン面の写真と実装面の写真を重ねあわせてフェーダーで透過具合を調整しながら部品の接続状態を解析した。
スキャナを使うのもいいかもしれない。

初めてこういう解析をやったのだけれど、この時点ではネットで見つけた回路図の間違いに気づけていなかった……。

ネットで見つけたレイアウトはこの回路図をもとにまた別の人が作ったもので、また別の間違いがあったけれどこの時点ではこれにも気づかなかった……。というのも、このレイアウトを作成した人はモディファイしたものについて回路を書き直し、レイアウトを作成していたので、それに伴う抜け落ちが生じていた。

 

レイアウト


以下に載せるレイアウトは、修正を反映した最終的なものなので実際に自分が作ったものとは違う。
あと、これはあくまでもSPH-1風のフェイザーであり、似ているものにしかならないということを念のため言っておく。

とりあえずIC、FET、5.1Vツェナーダイオードはソケットに挿して交換できるようにしておいた方がいい。
その他のソケット化した方がいい部分やモディファイについては次の記事でレイアウトと共に記述する。

もし間違いに気づいた方がいたら教えていただきたい。 

抵抗とコンデンサについては製品と同じ定数。
電源電圧の降下を招く抵抗は除去してある。
2SK30Aは足が交差するので注意。
黒色灰色の正円はRate、Depth、Resonanceの接続部分。
Wire1~6はそれぞれ同じ色の楕円の部分同士を接続するという意味。
  ・Wire1→緑色の楕円同士を接続(アース)
  ・Wire2→水色の楕円同士を接続
  ・Wire3→ピンク色の楕円同士を接続
  ・Wire4→赤色の楕円同士を接続(電源)
  ・Wire5→黄緑色の楕円同士を接続
  ・Wire6→オレンジ色の楕円同士を接続

電解コンデンサを統一したかったけど間違えてバラバラになってしまった。

 

④ケースの加工とジャック・スイッチの配線

スイッチなどの配置を見積もって、

ケースに穴を開けてスイッチとジャックを配線し、可変抵抗も仮留め。

この時点ではスイッチの配線1本と保護用整流ダイオードの設置を忘れている。

小型の可変抵抗の足は結構折れやすいので小さくカットした余った基板にはんだ付けしている。

今回ケースは無塗装。IN,OUT,DCのジャックはトップに。スイッチは左側に寄せた。
INPUTジャックとOUTPUTジャックは両方ともモノラルジャックにした。
9V電池を使用せずにDCジャックからの給電のみの仕様となると、INPUTにステレオジャックを使用するメリットってあるのだろうか。。。

ここでジャック類とスイッチにトゥルーバイパス配線をしてスルー音が鳴ることを確認。
LEDはエフェクトのスピードに合わせて点滅する仕様にするのでここでは配線していない。

可変抵抗やジャックの位置が決まったので各配線の長さを決め基板にはんだ付け。

この時点では間違ったレイアウトで作成しているので参考にしないように。。。

⑤テストとトラブルシューティング

基板のテストには自作のテストボックスを使用している。

ワニ口クリップで接続するだけで済むので1台作っておくと便利。

IC5(JCR2904D)をソケットに挿して先ずはLEDがRateに合わせて点滅するかを確認。
ちなみに自分はちゃんとアースが取れていなくてダメだった。
ここでネットで見つけたレイアウトの間違いを見つけた。

LEDの点滅がちゃんと確認できたら次はICとFETをすべてソケットに挿して音の確認。
ルーパーで音をずっと流して基板上の可変抵抗をちょっとづつ回しながらエフェクトが一番深くなるところを探った。
自分の場合はフェイザーの効果は得られるものの、Resonance(フィードバック)が全然効かないという症状が認められた。認めたくなかったけれど。
FETを抜き挿しして音の変化を確認してみたところ、どうやらFET2個分しか働いていないようで。

本来このARION製SPH-1は位相シフト回路が4つある(FET1個につき1回路)の4段フェイザーなんだけど、これじゃ2段フェイザーじゃん。しっかりフェイザーの効果は得られているけど。この時点ではフィードバック回路の部分(IC2とQ2)周辺に問題があることは推測できたけど何が間違っているか分からなかった。

こいつについてずっと考えていても頭が痛くなりそうだったので、手掛かりを得るために情報がたくさんありそうなMXR Phase90の回路を参考にしてみることにした。Phase90の回路図やモディファイの情報とネットで見つけたSPH-1の回路図を見比べてみたところ怪しい部分を発見したので、この部分について再度製品を開けてパターンを確かめてみるとやっぱりネットで見つけて参考にしていた回路図が間違っていた。

ざっくり言うと、どうやらフィードバック回路を形成せずにスルーしていたっぽい。Resonance(フィードバック)が全然効かなかったのも納得。
電気回路に詳しい人なら最初に気づきそうな部分だな……と思った。

配線を直したところ無事にResonanceが効くようになり、エグいプクプクサウンドもちゃんと出るようになった。

次は最終的な音の調整とモディファイ。