砂の夢

2013年もしくは2014年に見た夢の記録。
当時書き起こしたものを一部修正したもの。

以下、記録
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綺麗な夢を見た。

 

荒廃した近未来。世界は砂漠化が進み、多くの人々も建物も砂に飲まれてしまった。

至る所に流砂があり、ものがじわじわと地中に沈んで行くのはよく見る光景で、自分の親しい人達も、ほとんどが砂に飲まれて死んでいった。

社会というものが無くなったこの世界で、残された人々はただ生きていく事が目的になっていた。

 

もちろん街などは無く、灯りも無い。

夜空には無数の星があって、常に多くの星が流れていた。
目に映る景色は青っぽく、夜ではあったがどこに何が在るか分かる程には明るかった。

 

丘の上にはかつて通っていた学校が半壊状態で残されており、それを遠くからじっと見つめていたのを覚えている。

 

自分はカメラマンだった。

必要ではなかったけれど、とにかく多くの写真を必死に撮り続けていた。

 

しばらく歩いていると、うっすらと曇りガラスの窓から光が漏れている古くて小さいドライブインが目に入った。空腹だったから、そこで食事を摂る事にした。

「いらっしゃい」と優しそうな六十代後半くらいの女性店主が迎えてくれた。店には自分の他に、お茶を啜りながらうとうとしてる白髪頭の老婆が一人いた。テーブルの上に置いあるランタンの灯りが暖かくて心地良かった。

 

「私の旦那も流砂に飲み込まれてね……お客さんはいつぶりかしら……」などと店主は話してくれた。自分がどんな事を話したのかは覚えていない。

食事を終え、恐らくはもう会わないであろう店主と少し長めの雑談をしてから店を出ると明け方になっていた。

 

愛車であり、唯一の居場所でもあったボロボロの赤いフィアット500に乗り込んで少しの間だけボーッとした。車の中は少し寒かった。

助手席には何冊かの本と書類が置かれている。その本や書類は何の役に立つわけでも無く、ただそばに置いておくことで安心を得ていた。

 

カメラの調子を確認した後、車を出した。
特に理由は無いが、遠くを目指した。

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以上が夢の記録。

 

常に星が流れている巨大な砂漠の青い夜景がとにかく綺麗だった。

 

夢の中で砂に飲まれて死んでいった人たちはみんな眠るように死んでいったし苦しくなさそうだった。と夢の中の自分は記憶していた気がする。

 

この夢を見た4,5年後の2018年に似たような景色の場所を見つけて行ってきた。

ここは海岸線だし夢で見た風景に海は無かったけど。

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