令和五年五月 カメラ・オブスキュラ

Camera Obscura

People In The Boxの新アルバム「Camera Obscura」がリリースされましたね。

pitb.stores.jp
相変わらずカッコいい。ひと通り聞いてみた最初の感想としては「良い」とか「カッコいい」じゃなくて「スゴイ」だった。全曲良いです。

第一印象では1曲目の「DPPLGNGR」、2曲目の「螺旋をほどく話」、5曲目の「スマート製品」、8曲目の「水晶体に漂う世界」が好きだった。
今は3曲目の「戦争がはじまる」、6曲目「自家製ベーコンの作り方」にハマりつつある。

前作のTabula rasaまでのものがひっくり返されたというか、よく似てるけれど明らかに違っているようなパラレルワールドに投げ入れられたような感覚があった。
(これについてはうまく説明できない。文章力の無さたるや)

もしかしてこのアルバムを作ったのはPeople In The Boxドッペルゲンガーだったりする??

曲は相変わらず難解だし真面目に聴きすぎたら楽器やバンドを辞めたくなりそうなほど圧倒される。
歌詞については生々しさが顕著で怖さすら覚える。

自分の感覚ではWall, Windowあたりからtabula rasaにかけて生活感や日常の中のしこりやノイズ的なもの存在感が徐々に大きくなってきたなぁと思っていたところ、今回のCamera Obscuraは生々しさ全開で、もはやこれまでの詩的な感じがありつつも大分違っていてビックリした。

前アルバムのリリースが2019年。
一昨年あたりからそろそろ新作が来るはずと思い続けて待ちに待った新アルバム。アルバムタイトルも良い。

長い時間をかけて何回も聴くことになりそう。


カメラのはなし

ところで、自分はカメラをやっている。

https://www.instagram.com/film_filament/


フィルムカメラ4台とミラーレス一眼1台を持っている。
Nikonのフルサイズ一眼レフ(とても高い)を買いたいと思っていたが、いつの間にかフィルムカメラが何台か増えていた。

フィルムはデジタルと比べてとにかく金がかかるが、自分はフィルムでばかり写真を撮っている。

フィルムの写真とデジタルの写真は全くの別物で、自然な曖昧さが出る。
カラーネガで撮った写真には100%の白や黒はなく、何かしらの色がついているし(多分)、レンズやフィルムの個性によって目に映った風景とはだいぶ異なるものが撮れる。
自分の記憶を良い感じに色づけしてくれるような感じがしてとてもイイ。

去年の夏に、山中信夫の企画展を見に行った。

企画展[山中信夫☆回顧展]|栃木県立美術館

原始的なカメラ(ピンホールカメラ)で撮影した写真に衝撃を受けた。

山中信夫が自室をピンホールカメラにして撮った継ぎ接ぎしたような巨大な写真もよかった。

この部屋そのものがカメラになっているものがカメラ・オブスクーラ(カメラ・オブスキュラ)である。

ja.wikipedia.org
この山中信夫の展示を見てから原始的なカメラの自作に興味が出てきて1年近く経ち、People In The Boxの新しいアルバムのタイトルに噛みつかれた今、カメラ製作の機運が高まっている。

35mmカラーネガフィルムで撮影できるピンホールカメラを自作したい。

今年の夏の工作はこれで決まり。

そしてこの文章を書いている今、山中信夫の図録を注文してしまった。
栃木県立美術館が1987年に出版した図録。届くのが楽しみ。